- [No8] 浸炭焼入れとはどの様な焼入れ方法ですか?
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熱処理には[No4]でご紹介した焼ならしや焼なまし等の一般熱処理法とは別にねじ関連部品の表面のみを硬く丈夫にする為の表面熱処理法があり表面硬化法と言われており、浸炭焼入れもその1つです。
表面硬化法には、物理現象を利用するものと、化学反応を利用するものがありますが[No7]は物理現象を利用するものについて説明させていただきましたが、今回と[No9]に分けて化学反応を利用するものについて説明させていただきます。
浸炭焼入れとは
鋼が焼入れによって硬化する為には、ある程度の炭素が必要です。この為、通常のままでは焼入れの出来ない低炭素鋼(S15CやS25C)等の表面にC(炭素)をしみ込ませ高炭素とした後焼入れ、焼き戻しをおこなう事によって表面は硬く対磨耗性に優れ、内部は低炭素鋼のままの軟らかい状態で靭性に富んだ鋼にする処理で、自動車部品や機械部品に多く使用されています。種類としては液体浸炭、ガス浸炭、固体浸炭等がありますが最近では、真空技術を用いた真空浸炭等もありますが、ガス浸炭が多く使われている様です。処理温度と時間については鋼種にもよりますが、低炭素鋼では910℃~950℃×2Hr前後で多く使われています。
※処理を依頼する場合は、表面硬さと浸炭深さが材質と炭素量によって変わる為、指定が必要です。