熱処理には[No4]でご紹介した焼ならしや焼なまし等の一般熱処理法とは別にねじ関連部品の表面のみを硬く丈夫にする為の表面熱処理法があり表面硬化法と言われており、窒化処理もその1つです。
表面硬化法には、物理現象を利用するものと、化学反応を利用するものがありますが[No8]の浸炭焼入れと同様化学反応を利用するもので、代表的な窒化処理について説明させていただきます。
窒化処理とは
鋼の表面に窒素(N)をしみ込ませ硬くする方法で窒素が入るだけで硬くなるので、焼入れ、焼き戻しはおこないません。
その為変形は極めて少ないと言う特徴があり、精密部品におこなう事が多い様です。代表的な方法としてガス窒化、ガス軟窒化、そしてみなさんもご存知のタフトライド(イソナイトに商標変更)に代表される塩浴窒化があります。特徴を示します。
窒化方法 |
窒化の反応 |
材質 |
表面硬さ |
硬化層深さ |
処理時間 |
ガス窒化 |
アンモニア(N)ガスを使用し、発生した窒素が鋼中に入ります |
高級鋼 SKD SCM等 |
高い Hv700〜1200位
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深い 約0.1〜0.3mm
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長い 25〜100時間位
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ガス軟窒化 |
アンモニアと浸炭性のガスの混合ガスを使用し、窒素と炭素が鋼中に入ります |
低級鋼 SPCC 炭素鋼等
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低い Hv400〜700位
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浅い 約8〜15μm |
短い 90〜150分位
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塩浴軟窒化 |
シアン酸塩と空気との反応によって発生した窒素が鋼中に入ります |
高級鋼 |
Hv700〜1200位 |
浅い 約8〜15μm |
短い 20〜120分位 |
低級鋼 |
Hv400〜700位 |
※上記の数値はおおよその目安です。材質により差異があります。